コラム「みんなの医療制度」 その61

DPCとリンクする地域医療連携―8月からスタート

 これまでこのコラムでも何回か触れていますが、2010年度診療報酬改定はDPC病院にとっても転換期となります。

 4月からはいよいよ1300病院を超す見込みですが、前年度の収入を保証する調整係数が今回の改定から、地域で果たしている役割などに応じた新たな機能評価係数に段階的に置き換わります。

新たな係数は6項目

 新たに機能評価係数となるのは、

1.厚生労働省に提出するデータが正確であるほど高い「データ提出指数」
2.全国平均より平均在院日数が短いDPC病院を評価する「効率性指数」
3.難しい診療をする患者が多いDPC病院を評価する「複雑性指数」
4.多くの疾患の患者を受け入れているDPC病院を評価する「カバー率指数」
5.地域医療への貢献度が高いDPC病院を評価する「地域医療指数」
6.救急入院初期の赤字を補てんする「救急医療係数」

――の6項目です。

 この6項目が高いほど係数も高くなり、受け取る診療報酬も割高になるわけです。中でも地域医療関係者に関心が高いのが、5の地域医療指数です。これは地域医療連携と深くかかわってきます。

 その地域医療指数をどのように決めるかというと、これまた7項目の基準を満たしているかどうかで決まります。ざっと列挙すると、

(1)脳卒中の地域連携にかかわる診療報酬の算定の有無
(2)がんの地域連携にかかわる診療報酬の算定の有無
(3)地域がん登録への参画の有無
(4)2次救急医療機関で地域の輪番制に参加しているか、救急救命センターであるかどうかなど
(5)へき地医療拠点病院か社会医療法人のへき地要件を満たしているか
(6)総合周産期母子医療センターか、地域周産期母子医療センターの指定の有無
(7)DMAT(災害派遣医療チーム)の指定の有無

という具合になります。1項目当たり1ポイント、この条件をすべて満たせば7ポイントが与えられ、それに見合った指数が与えられます、その結果、全体の機能評価係数も高くなるわけです。

 報酬改定と絡んでいるのが(1)と(2)です。脳卒中とがんの地域連携にかかわる診療報酬をそれぞれ算定することが求めらます。

 ではそれはどんな診療報酬なのでしょう。話がどんどん入り組んできて分かりにくいかもしれませんが、全部で5つあります。内訳は脳卒中が3つ、がんが2つです。別々に説明します。

 まず脳卒中。これは、複数の医療機関が共有する診療計画「地域連携クリティカルパス」の策定を評価する診療報酬で、具体的には

@「地域連携診療計画管理料」(管理料、900点)
A「地域連携診療計画退院時指導料(T)」(指導料1、600点)
B「地域連携診療計画退院時指導料(U)」(指導料2、300点)

を指します。

 この3つを治療の段階ごとに分かりやすく説明すると、脳卒中が発生した患者に対して集中治療を行う急性期病院が「管理料」、患者の安定後に治療する地域の医療機関が「指導料1」、退院後の面倒を見る中小病院や診療所が「指導料2」をそれぞれ算定することができます。算定に当たっては、あらかじめこうした役割分担を連携パスに明記しておかなければなりません。

 管理料と指導料1(従来の「指導料」から名称だけ変更)は以前からありましたが、指導料2は、今回の改定で新設されました。これまでの連携パスは入院中の診療連携だけを対象にしていましたが、今回は退院後も含めたフォローの体制もきちんと連携パスに明記し、診療報酬で評価しようという視点が盛り込まれました。

 この3つのいずれかを算定すると(1)の「脳卒中」の条件を満たすことができます。

 次はがんです。がんの場合には

C「がん治療連携計画策定料」(策定料、750点)
D「がん治療連携指導料」(がん指導料、300点)

という診療報酬を指します。いずれも今回の改定で新設されています。

 おおまかな流れを説明すると、がん患者に対して手術や放射線治療、化学療法などを行う拠点病院が「策定料」、退院後の治療を行う地域の医療機関が「がん指導料」を算定します。やはり連携パスを活用して連携していることが条件になっています。

 この2つを算定することが(2)を満たす条件になるのです(項目を羅列した分かりにくい表記で済みません……)

4月時点で評価

 新たな機能評価係数は4月からスタートしますが、地域医療指数だけは8月から反映されます。ただし、4月1日時点の状況が基準になるため、地域の医療機関の間では大慌てで連携先を探っているところもあるのではないでしょうか。

 ちなみに連携パスの作成を評価する点数は現在、脳卒中と大腿骨頸部骨折の2つの疾患が対象になっています。いっそ、がんもこの疾患に含めてしまえば、もっと診療報酬の仕組みも単純になるのですが、なかなかそうはいかないようです。

 連携パスの点数は、連携パスによって医療の効率化(平均在院日数)につながることが前提になっているのですが、がんの場合にはまだエビデンスが蓄積されていません。このため、あくまで患者の治療効果を上げる疾患対策として、今回の点数が新設されています。ちなみに同じように、認知症、肝炎もがんと同じような点数が新設されています。