コラム「みんなの医療制度」 その34

副作用のリスクで3分類−OTC医薬品の販売制度改正(上)

 一般用(OTC)医薬品の販売制度が来年6月から大きく変わります。

 OTCとは、「Over The Counter」の略で、薬剤師をはじめとする専門家がカウンター越しに販売する医薬品を指し、いわゆる市販の総合感冒薬(風邪薬)や胃腸薬などがこれに当たります。これに対し、医療用医薬品は医師の処方せんを受けてから調剤し、販売しなければなりません。

 OTCはこれまで、ほとんどひとくくりに扱われてきましたが、新たな制度ではこれが大きく「第1類」「第2類」「第3類」に3区分されます。副作用などのリスクが高い順に第1、第2、第3の順に振り分けられるのですが、効き目が強い順といってもいいと思います。このほか、第2類の中で注意を要するものは「指定第2類医薬品」に区分されます。

 医療用医薬品の主要成分の効果を弱めるなどの手を加え、OTC医薬品として製品化したものを「スイッチOTC」と呼びますが、これは原則として第1類に分類されます。ただ、ずっとではなく、4〜5年程度の販売後の状況を見て、安全性などに問題がなければ厚生労働省の有識者会議での審議を経て、2類などに移行する仕組みになっています。

 ちなみに、医療用医薬品を飛び越えていきなりOTC医薬品として開発、製品化されたものを「ダイレクトOTC」と呼びます。

 実際のリスク区分はどんなものなのか、総合感冒薬を例にとって見てみましょう。大正製薬の「パブロン」1つとってもさまざまです。作用が最も強力な「パブロンエースAX」は第1類、常備薬の位置付けの「パブロンSゴールド」は指定第2類医薬品、眠気を催さない「パブロン50」は第2類医薬品となるのです。

 薬局、薬店を訪れた際には、商品を注意深く見てみてください。3つのリスク区分がパッケージに印刷された製品がそろそろ出回り始めています。

●第1類は情報提供を義務化

 新制度では3つのリスク区分ごとに販売体制や情報提供の方法が詳細に定められています。つまり、このためのリスク分類なのです。

 第1類を販売できるのは薬剤師だけで、販売時に書面での注意書きを添えて副作用のリスク情報などを客に説明しなければなりません。その上、第1類はこれまでのように客がじかに手にとることはできず、必ず薬剤師がいるカウンター越しに陳列しなければなりません。文字どおり「OTC」となるわけです。

 一方、第2類、第3類は薬剤師のほか、新たに新設された登録販売者(都道府県の試験をパスすれば取得できる資格)も扱うことができ、客も手に取ることができます。第2類の情報提供は努力義務と第1類より緩く、第3類には規定すらありません。ただし、客から相談を受けた場合には、必ず応じなければなりません。

 ところで、現行制度では薬局(処方せんを受けて調剤も行う店舗)や薬店(いわゆるドラッグストアなど)は、こうしたリスクの区分にかかわらずすべてのOTC医薬品を扱うことができます。

 その代わり、薬剤師の常駐が義務付けられ、客に対して情報提供をするよう努めなければなりませんが、実際にはその場にいたりいなかったりということがあります。一時期、「ドンキホーテ」が薬剤師とつながるテレビ電話を使用し、早朝・深夜帯にOTC医薬品を販売しようとしたことで一気にこうした薬剤師の不在問題が表面化し、今回の制度改正に結び付きました。

 その際、販売の効率性も組み込まれました。店舗の中には必ずしも薬剤師による説明がいらない商品があるもの事実です。このため、副作用の心配があるOTC医薬品はきっちり情報提供をしなければならないと定める一方、説明が不要なOTC医薬品はそれなりで良しとするメリハリが付けられたわけです。

●インターネット販売は限定

 ちなみにインターネットなどを含む、通信販売はどうなるのでしょうか。これまでは認められていたというより、薬事法に規制する項目がないため、いわば“抜け穴的”に風邪薬や解熱鎮痛剤などの販売が行われています。

 ですが、新たな制度では規制されます。今回の改正薬事法の趣旨に照らし合わせ、薬剤師や登録販売者とじかにやりとりすることができないインターネットなどでの販売は、第3類に限定されるのです。つまり、風邪薬や胃腸薬、水虫薬、妊娠検査薬などの販売は不可能になります。

 これまでOTC医薬品をインターネットなどで販売していた業者は当然、「消費者の利便を損なう」などと猛反発しています。インターネットの仕組みを活用することで店舗並みの情報提供はできるとし、最低でも第2類の販売継続を要求しています。

 かたや、同じOTCの業界内にも「これまで制度の抜け穴を利用して販売していたのだから、規制がかかるのは仕方がない。インターネットによる無店舗販売には新たな制度を設ける必要がある」と冷ややかに見る向きもあります。


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