コラム「みんなの医療制度」 その17

後発医薬品の使用推進をさらに強化−処方せんを再び変更

 政府は来年度から、特許が切れた医薬品(先発医薬品)と同じ成分で製造された後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用推進をさらに進めます。

 厚生労働省は、2004年度の数量ベースで16.8%となっている後発医薬品のシェアを12年度までに約2倍の30%以上に引き上げる目標を掲げており、追加策を講じて達成を目指す考えです。

 06年度の診療報酬改定では、医師が処方せんに記載した薬剤について、後発医薬品に変更しても構わないと判断した場合に、「変更可」の欄に署名する処方せんを導入しました(だれでも分かる2006年度診療報酬改定のポイントM参照)。

 ですが、実際にどれだけの処方せんの「変更可」に署名があったのかというと、全体のわずか17%であることが厚労省の調査で分かりました。さらにこのうち、保険薬局で実際に後発医薬品が処方されたのは8.2%でした。つまり、後発医薬品が処方されるケースは、全体の処方せんの1.4%に過ぎないのです。

 なぜ、全体の17%しか「変更可」に署名がないのでしょうか。現場で判断する医師に聞いたところ、新たに意外な事実が浮かんできました。

●後発医薬品の使用「こだわらない」が80%

 医師の後発品の処方に対する考えでは、@患者から要望がなくても積極的に処方する(11%)Aこだわらない(70%)B患者から要望があっても基本的に処方しない(18%)−という結果になりました。この結果から、@Aを合わせた約80%は後発医薬品の使用に抵抗を感じていないことが分かったのです。

 であれば、わざわざ「変更可」に署名する手間が障害になっているのではないか。つまり、後発医薬品への変更を前提に変更したくない場合にだけ署名する仕組みに改めれば、もっと後発医薬品に変更できる処方せんが増えるのではないか、と厚労省は考えたわけです。

 この仕組みには日本医師会も賛成しました。従来、反対の姿勢を示していたのですが、会員の医師にアンケートを実施したところさほど強い反対がありませんでした。最後まで反対を貫く後ろ盾がなくなったわけです。これにより、来年4月から導入されることがほぼ固まりました。

 変更される新たな処方せんでは、記載した先発医薬品の後発医薬品への変更を認めたくない場合のみ医師が「変更不可」の欄に著名か記名・押印をします。記載した先発医薬品のうち、どれか一品目だけを変更したくない場合には、「変更不可」に署名はせず、記載した先発品の銘柄の横に「変更不可」と記載することになります。

●保険薬局にもインセンティブ

 こうした取り組みに合わせて、処方せんを受け取った保険薬局に調剤してもらうインセンティブも必要になります。ここで実際に後発医薬品が調剤されなければ、いくら医師が「変更不可」に署名しない処方せんを書いても意味がありません。

 複数の後発医薬品の在庫を抱えることは保険薬局にとり、少なからず負担になっています。このため、後発品を調剤した処方せんの割合が一定割合を超える場合には診療報酬を上乗せする予定です。

 また、後発品の銘柄があらかじめ指定された処方せんで、「変更不可」欄に署名がない場合には、保険薬局の判断で別の後発品を調剤できるようにすることも検討します。錠剤を細粒に変えるといった判断も保険薬局に委ねますが、いずれも患者の同意が前提になります。

 診療報酬とは別に流通面の環境整備も進めます。「後発品は納品に時間がかかる」といった医療現場からの不満を解消するため、厚労省は本年度内に後発品の製薬企業から卸業者への翌日配送を100%にすることなどを盛り込んだアクションプランを作成しました。各社の自助努力によって流通の仕組みを向上させるわけです。


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