コラム「みんなの医療制度」 その15

自治体病院は3年で黒字化を−総務省の指針案が確定

 慢性的な赤字経営が続く自治体病院の経営改善に向け、総務省が地方自治体に策定を求める改革プランの指針案がまとまりました。この指針を参考に赤字病院を抱える地方自治体は、来年度中に改革プランを策定することが求められます。

自治体病院の関係者に経営赤字の理由を聞くと、「われわれは民間病院が提供していない不採算医療に取り組んでいる」という言葉が良く返ってきます。であれば、そこは一般財源からの繰り入れで面倒みますが、その代わり、必ず黒字経営に転換してください−。ガイドラインを要約するとざっとこんな内容になります。

ただ、税金の投入が単なる赤字補てんにならないよう、各自治体で繰り入れ対象となる「不採算医療」の基準をきっちり決めることが必要です。ただ実際のところ、公的病院しかできない不採算医療はどれだけあるのでしょうか。どんな基準になるのか見物です。

●取り組みは3つ

 では、ガイドラインの内容をもう少し細かく解説します。

 このコラムIでも触れていますが、具体的な改革の取り組みとして総務省が想定しているのは、@企業の業務改善に当たる「経営効率化」A複数の自治体病院を統廃合する「再編・ネットワーク化」B経営を民間病院に任せることができる指定管理者制度の活用や民間譲渡委託を含む「経営形態の見直し」−の3つです。

@の経営効率化に取り組む場合の改革プランの期間は3年間です。どのような道筋で黒字転換させるのか、具体的な数値目標を定める必要があります。必須となるのは @経常収支比率 A職員給与費対医業収益比率 B病床利用率−の3点。このほか、例えば資金不足比率、医薬材料費の削減額の目標、平均在院日数などはそれぞれの自治体の判断に委ねられます。

●13年度までに再編を

 今回のガイドラインで注目されたのは、全病院に共通する数値目標が盛り込まれたことです。このガイドライン案をまとめた有識者会議の座長の意向が反映され、病床利用率が3年連続で70%に満たない病院(一般病床、療養病床)は、病床を減らすか、診療所になることを求めています。さらに、もともと病床が過剰な2次医療圏に立地し、周囲にも自治体病院がある場合には、再編・統合をしてください、というメッセージを強く送っています。

 むろん強制力はありませんが、総務省の担当者は「総務省が70%未満という数値を設定したことは、自治体にとってプレッシャーにはなるだろう」とみています。3年連続で70%を切る病院は、全国で146病院あるそうです。自分の病院のデータと比較しながら、地方議会などで議論が活発化することを期待しています。

 A、Bを含む改革プランの期間は、ちょっと長目で5年です。統合相手との調整や議会の手続きなどが必要になるためです。病院の統廃合は、簡単ではありません。いくら国が旗を振ったところで、地元住民の反対に遭えば首長も無視するわけにはいきません。統廃合に伴うメリットとデメリットをいかに分かりやすく提示できるかが、正否のポイントになるでしょう。住民側も赤字病院の存続を求めるには、それなりの負担増を覚悟する必要があります。

●70%未満は「プレッシャー」

 再編・統合に当たっては国も財政支援をする心積もりです。いくつかの病院をまとめて1カ所に統合する場合の新病院の建設資金や、不要になる病棟の取り壊し費用を交付税で支援する予定です。総務省は、再編・統合は2013年度までに実行するのが望ましいとの見解も出しており、その間に着手すれば、財政支援が得られるというアメを掲げるのではないでしょうか。

 むろん強制力はありませんが、総務省の担当者は「総務省が70%未満という数値を設定したことは、自治体にとってプレッシャーにはなるだろう」とみています。3年連続で70%を切る病院は、全国で146病院あるそうです。自分の病院のデータと比較しながら、地方議会などで議論が活発化することを期待しています。

 とまあ、書くのは非常に簡単ですが、実際にプランを策定することになる自治体病院では、数値目標の設定などをめぐって大騒ぎになるでしょう。何しろ、全国の自治体病院の7割は赤字なのですから。


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