コラム「みんなの医療制度」 その14

費用対効果の検証も必要−禁煙指導の保険適用

 来年4月に予定されている2008年度診療報酬改定に向けた議論が活発化しています。審議のペースは従来の週1回から週2回に倍増。傍聴に訪れる人たちも回を追うごとに増えています。

 具体的な方向付けが示される11月〜2月の中医協は傍聴者の数がピークに達します。午前10時の会議開始のおよそ1時間前にはすでに会場の前に長蛇の列ができ、いまやその光景は診療報酬改定の風物詩になっています。

 さて、前回までの改定と今回の改定の手法で異なる点の1つが、報酬の改定が実際の医療サービスの向上にどう結びついたかを検証する「診療報酬改定結果検証部会」の存在です。前回の改定時にも設置はしていましたが、時間をかけて収集したデータを基にきちんと議論されるのか今回が初めてと言っていいでしょう。

 先日の改定部会では、前回の06年度改定で導入された「ニコチン依存症管理料」や、紹介率が廃止された影響などが示されました。

●前回改定で最後までもつれ

 ニコチン管理料は、明細の分かる領収証とともに、06年度改定で決着が最後までもつれた項目です。中医協で健康保険組合の代表者などの支払い側が「個人の嗜好を公的保険で面倒を見るのはおかしい」と導入に猛反対したためです。ただでさえ医療財源が不足するのだから、もっとほかの分野に充てるべきだとの主張でした。

 ニコチン管理料については、このコラム(2006年度診療報酬改定のポイントJ)でも触れていますが、あらためておさらいします。

 この指導が受けられるのは、喫煙者の中でも、1日当たり喫煙本数と喫煙年数の積の合計が200以上(例えば1日20本のペースで10年以上)のスモーカーに限られます。12週間、5回にわたり、治療プログラム(初回は230点、2〜4回目が184点、5回目が180点)が提供されます。

●成功とは言い切れず

 では、実施してみた結果はどうだったのでしょうか。この治療プログラムを受けた患者の1年後の禁煙継続率が32.6%で、まずまずの成果を残したことが分かりました。イギリスで取り組み例の17.7%を上回っており、部会長である遠藤久夫・学習院大経済学部教授も、「禁煙率は国際標準をクリアしている」と評価を与えました。

 ですが、06年度改定の導入時に、支払い側の委員が最もこだわったのは費用対効果です。禁煙指導に充てた財源と、その成果によってもたらされる医療費の削減効果を照らし合わせ、検証されなければ「成功」とは言い切れません。

 ちなみに厚生労働省が導入時に示したデータでは、喫煙が原因の超過医療費は約1兆3000億円に上ると推計されています。社会全体の損失では7兆円を超えるとされていますが、ニコチン管理料がどの程度、超過医療費の削減に貢献するのかという側面の議論はまだされていないのが実情です。


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