コラム「みんなの医療制度」 その12

医療事務補助者の人件費をどう手当て−勤務医の負担軽減で

 来年4月に予定されている2008年度診療報酬改定に向け、9月から厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)で個別具体的な議論がいよいよスタートします。

 先日の中医協で示された検討項目には、@勤務医の負担軽減A救急・小児・産科B初診料や再診料の見直しC入院医療の見直しDがん対策の強化−などといった点が盛り込まれました。

 特に@の勤務医の負担軽減は、医師不足対策の特効薬といわれています。政治問題にもなっている昨今の医師不足は、ほぼ勤務医不足に置き換えられるでしょう。いうまでもありませんが、地方の病院では深刻さが違います。

 とりわけ小児救急の現場は、36時間ぶっ通しで働かざるを得ないような過酷な労働環境が取りざたされています。面接のごとく押し寄せる患者の対応に疲れ果てた医師が相次いで退職し、残された医師の負担がさらに重くなる悪循環が続いています。

●カルテ記入などをサポート

 この状況を断ち切る1つの案が、医療事務補助者やメディカルセクレタリーといった職種をきちんと制度化し、医師が診療のみに専念できるようにすることです。

 日本は米国に比べ、職種ごとの分業がまだまだ進んでいません。医師が本来の診療のほか、自らカルテや処方せんの記入、書類整理などすべてを行っているのが現状です。こうした診療に付随した事務作業を医療事務補助者に担ってもらうことで、医師の負担はぐっと楽になるとされています。

 とまあ、口でいうのは簡単です。問題はこれをどう制度設計し、予算付けするかです。厚生労働省内では、病院施設の管理運営を担当する医政局、診療報酬を担当する保険局の間で議論が続いています。

 医療事務補助者の人件費を診療報酬の中に落とし込む、となるとなかなか難問です。ただ、個人的には、医療機関が医療事務補助者を配置した場合に「加算」という形で初診料や再診料などに上乗せすることが考えられると思います。

 医療の本筋とは異なる医療事務補助者の人件費を診療報酬に組み込むことには反論もありそうですが、現在の点数表にはすでに、IT化を進めている医療機関に限って算定が認められる電子化加算(3点)という項目もあります。

●「IT加算」も同じ理屈

 医療機関のIT化の費用を患者に転嫁するのはおかしな話ではありますが、間接的に医療サービスの向上につながっているのであれば、まあ許される範囲だろうということで06年度の診療報酬改定で導入されました。この理屈は医療事務補助者の加算にもそのまま当てはまるのではないでしょうか。

 一方、医政局には、医療事務補助者らを配置した医療機関に対して、補助金を出したらどうかというプランがあります。来年度の予算として財務省に要求する方針のようですが、仕組みとしては最も簡単です。

 ただ、診療報酬にせよ、補助金にせよ、どのレベルまでを医療事務補助者として認めるかどうかで議論があるでしょう。どのように養成するかも大きな課題になりそうですが、医療従事者を専門とする人材派遣・紹介会社にとっては大きな市場が生まれることになるかもしれません。


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